2024.10.04 |
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SCEと呼ばれるコンジョイント分析手法をご存知ですか?[MTレター102]
当メールは以前弊社スタッフと名刺及びメール交換させて頂いた方に送らせて
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▼今月のコンテンツ
ご挨拶:コンコルド以来の超音速旅客機はできるのでしょうか?!
タレマ!:読書と聞いて思い浮かぶ芸能人といえば
コンジョイントQ&A:コンジョイント調査をしてみたいのですが、何を用意すれば
いいでしょうか?
スタッフコラム:SCEと呼ばれるコンジョイント分析手法をご存知ですか?
▼ご挨拶
「コンコルド以来の超音速旅客機はできるのでしょうか?!」
マーケティングテクノロジー藤井でございます。
やっと気温も下がり秋めいてきた今日この頃ですがみなさまお元気でお過ごしでしょうか。
コロナも収束し再び大旅行時代を迎えている今、超音速旅客機の開発を進めているベンチャー企業がありますのでご紹介いたします。
〇超音速旅客機「コンコルド」
コンコルドの機体は1969年に商業飛行を開始し、その約36年後の2003年に最後のフライトを終えました。
コンコルドは音速の2倍の速さで空を飛ぶ超音速旅客機で、例えばニューヨークからロンドンまでジェット旅客機ではおよそ7時間のフライト時間のところ、コンコルドは約その半分の3.5時間しかかかりませんでした。
そのスピードは素晴らしかったのですが、元々燃費が悪く定員の少なさもあって収益性が低い機体であり、2000年に墜落事故が発生したことや2001年のアメリカ同時多発テロ事件によって航空需要全体が低迷し収益性の改善が望めなかったことなどから運航停止が決定され、2003年に営業飛行を終了し撤退しました。
〇コンコルド以来の超音速旅客機へ
2003年にコンコルドが撤退してから約20年経ち、現在アメリカのベンチャー企業「ブーム・スーパーソニック」がマッハ1.7で飛ぶ超音速旅客機「オーバーチュア」の開発を進めています。
ブーム・スーパーソニックの創業者兼CEOはブレイク・ショールさんで、2001年にアマゾンのソフトウエア・エンジニアとしてキャリアをスタートさせています。
完成すれば飛行時間が現在の旅客機のおよそ半分に短縮されます。
〇オーバーチュアの小型テスト機「XB-1」
オーバーチュアの小型テスト機である「XB-1」は2020年に完成し、昨年連邦航空局から耐空証明を獲得し飛行準備審査(FRR)を通過しました。
昨年からカリフォルニア州で地上走行テストを実施しており、すでに3回の飛行試験に成功、先日(2024年9月21日)4回目となるマッハ0.6での飛行試験に成功しました。年末までに超音速飛行の達成を目指しています。
〇オーバーチュアは2029年の就航を目指しています
オーバーチュアは今年製造を開始し、2025年に完成、2027年のテスト飛行、2029年の商用化を目指して開発されています。
すでにユナイテッド航空やアメリカン航空が同機を発注し、日本航空(JAL)も1000万ドル(当時約11億円)を出資し20機までの優先発注権を確保しています。
オーバーチュアの航続距離は約8,000キロメートルで、長距離路線の場合は途中で燃料補給が必要ですが、その時間を入れても現在のジェットエンジンの約半分の時間で目的地に到着できます。
創業者のブレイク・ショール氏によると、1号機の乗客定員は65~80人で全席ビジネスクラス、価格も現在のビジネスクラス程度のものとなる想定で、2号機ではプレミアム・エコノミー席、3号機ではエコノミー席も設ける意向があります。
オーバーチュアがコンコルドよりも安い価格設定ができるのは、過去50年間の航空機技術の発展によるもので、オーバーチュアは軽くて強い炭素繊維複合材料の品質やソフトウエア技術の向上などによりコンコルドよりも格段に燃費がいいとのことです。
その他騒音を低減させるエンジンの開発やサスティナブルな航空燃料(SAF)だけで作動するよう設計されています。
・・・とのことですが、専門家の中には航空各社の採算が合うかどうかを不安視し2029年の商用化は難しいとする意見や、環境への負荷を懸念する声も上がっています。
超音速旅客機は技術の進化と商業ベースの採算の両方が求められる難しさがありますが、果たしてオーバーチュアは実用化されるのでしょうか。
ロシアの上空を飛べなくなってから日本とヨーロッパ間のフライトも14時間位かかるようになりました。
ぜひオーバーチュアには頑張って頂きフライト時間が短くなるとうれしいです!
(記:藤井 )
▼タレマ!
「読書と聞いて思い浮かぶ芸能人といえば」
担当の西村です。
タレマ!とはタレントマーケティングの略で、毎回テーマを定め、
また、他にも定例の質問といたしまして、
「読書」
結果は下記の通り!です。
〇あの芸人が首位!
〇前回に引き続きあのメジャーリーガーが首位!!
最近CM等で目にした有名人について調査したところ、「
どちらの詳細も下記リンクよりご覧ください。
https://www.qnre.net/tke/MarketingT/tm/admin/dataH_202410.html
以上タレマ!でした。
(記:西村)
▼コンジョイントQ&A
「コンジョイント調査をしてみたいのですが、
再びマーケティングテクノロジー藤井でございます。
初めてコンジョイント調査を実施する方から、コンジョイントでは何を用意すればいいのでしょうか?というご質問を頂くことがあります。
コンジョイント調査は一般的な調査のように設問とカテゴリーを用意するのとは少々違いますので、今回はコンジョイント調査を実施するにあたりご準備頂きたいものをご紹介したいと思います。
〇テーマ(コンジョイント調査でどのようなことを明らかにしたいのか)
一般調査同様ですが、調査テーマや目的、背景などご共有頂けますとこれまで実施してきたノウハウでお伝えできることがある可能性があります。
〇属性・水準
コンジョイントでは購入する商品の要素(属性)とその種類(水準)の組み合わせを提示し、被検者に購入したい商品を選択してもらいます。
以下は以前弊社で実施したチョコレートのコンジョイントの属性水準表ですが、以下のような調査したい商品の属性水準表をご用意ください。
例えばチョコレートの調査といっても、パッケージの調査なのか、チョコレートの味に関する調査なのか等により属性水準が変わってきますので、テーマに合わせて属性水準を決める必要があります。
どのような属性や水準にしたらいいかご不明な場合は遠慮なくご相談ください。
〇画像
以下のようにコンジョイント設問の中に画像を表示させることができますので、画像を呈示したい場合は画像もご用意ください。
〇解説文
ちょっとわかりにくいかな?という水準に補足で説明文章を提示することができます。
コンジョイント画面中に説明文を入れると視認性が落ちてしまうので、ポップアップで別画面を開き表示させることができます。
〇アウトプット
結果の効用値数表だけで良いのか、シミュレーション結果数表(EXCEL)やシミュレター(EXCEL)も必要かどうかお知らせください。
〇サンプル数
試行数(設問数)に関わりますので予め決まっていましたらサンプル数のご教示をお願いします。
〇分析軸
コンジョイント結果も通常の調査同様に性別軸、年代軸などで分析することが可能です。
集計軸がお決まりでしたら一般設問で聴取しておくことをおすすめします。
〇シミュレーションシナリオ
コンジョイント結果を使ってシミュレーションする場合はシナリオをご用意ください。
先ほどのチョコレートを例にすると以下のような感じになります。
■ベースシナリオ
製品A:板チョコ/カカオ70%/苦みなし/乳酸菌入り/250円
製品B:箱/カカオ70%/苦み弱め/ストレス軽減/150円
製品C:板チョコ/カカオ70%/苦みなし/ストレス軽減/200円
↓
■製品Aの価格を50円下げてみたら・・・?
製品A:板チョコ/カカオ70%/苦みなし/乳酸菌入り/200円
製品B:箱/カカオ70%/苦み弱め/ストレス軽減/150円
製品C:板チョコ/カカオ70%/苦みなし/ストレス軽減/200円
コンジョイント調査で呈示していない水準はシミュレーションの要素に入れることができませんので、調査前にあらかじめシナリオを想定しておくと水準の提示し忘れがなく安心です。
〇販売数データ
実際の商品の販売数データをご教示頂けましたら、シミュレーション結果に「外部補正(External Effect)」と呼ばれる補正を行うことができますので、より実際の市場に近づけたシェア結果を算出することができます。
〇スケジュール
コンジョイント調査に限りませんがいつまでに結果が必要かお知らせください。
〇海外調査の場合は現地語の設問文・属性・水準等をご準備ください。
弊社はこれまで多くの言語でのコンジョイント調査の実績があり、海外調査も対応可能です。
海外での調査も何なりとご相談ください。
例)英語、中国語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、タイ語、ヒンディー語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語など
初めてコンジョイント調査を実施される場合はいろいろ不安もおありかと思いますが、何なりとお答えいたしますので遠慮なくお問合せください!
弊社コンジョイントサイト
https://m-te.com/conjoint-analysis-2/
▼スタッフコラム
「SCEと呼ばれるコンジョイント分析手法をご存知ですか?」
担当の田村です。
最近しばしばSCE(Situational Choice Experiment)と呼ばれるコンジョイント分析手法についてお問い合わせがありましたので今回はそちらを取り上げてみたいと思います。
SCEは日本語で何というのか適当な名称が見つからなかったので「状況選択実験」とでも呼んでみたいと思います。
この言葉通りまさに「状況」を「選択する」コンジョイント手法になります。
比較的新しい手法のため国内の事例は見つからなかったのですが米国では製薬・ヘルスケア領域での活用が多いようです。
ここで言う「状況」とは、例えば患者の年齢、性別、既往歴、活動状況等、通常はブレイクダウンに使う軸のような要素を組み合わせて、それに合う薬剤を選択するような形になります。つまり状況(患者特性)に合うものを選ぶというか形です。
例えば、
・年齢が70歳
・男性
・喫煙歴あり
・運動習慣あり
という組み合わせプロファイルを直交にて生成します。
このプロファイルに対し以下の4つの処方ではどれが良いと思うかを問います。
1. 製薬A
2. 製薬B
3. 製薬C
4. ダイエットを勧める
等となります。
次の問ではまた別のプロファイルを呈示し同様の質問を複数回繰り返します。
通常のコンジョイントでは複数のプロファイルを呈示してどれが良いかを1つ選んでもらうような選択実験を行いますが、SCEでは通常Single Profile Conjointと呼ばれ、1つのプロファイルカードに対しての反応を聴取します。
ヘルスケアでの知見があまりないため、クルマをテーマにSCEの例を見てみましょう。
次のような「性別」「年代」「居住エリア」「世帯構成」の4つの属性の組み合わせに対して、「レクサスRX」「ホンダフリード」「ダイハツタント」の3つのクルマのどれが合うのかを聴取します。
調査画面としては以下のような感じになります。
こうした組み合わせに対する質問を今回は8回ほど繰り返しています。(通常は10回以上を実施した方が良いようです)
今回は聴取したデータを階層ベイズにて解析しています。
以下のような解析結果が得られました。
さらにこの個人別効用値データを平均を取ってサマライズすると以下のようになります。
さらに各車種ごとの平均を引いて基準化すると右の表のようになります。
黄色セルが各属性水準ごと(横行)と各車種ごとの最大効用値となります。
ASCはAlternative Specific Constantと呼ばれる選択肢固有定数です。要するに算出された効用値以外の説明されない要素ということになります。余り要素のようなものです。
尚、タントの各水準は多重共線性を避けるためオミットしているためゼロとなります。
ぱっと見た感じではレクサスは男性、タントは女性。高年齢層ほどレクサス、郊外がレクサス。一人暮らし等の小世帯ほどタントとなっています。
この結果は小サンプルで少々恣意的な回答のためあくまでも参考ですがこのような結果が得られます。
グラフ化するとこのようになります。
続いてシミュレーションも行ってみます。例えば、「性別は女性で、年代が40代、郊外居住者で、世帯構成は4人以上」というシナリオの場合は各車種ごとに◎の部分を縦計します。レクサスRXの場合は2.0300となっています。各車種のシナリオの水準を合計したものを算出します。
さらに各車種の合計効用値をEXP()、eを底とするべき乗を取ります。そのべき乗の全車車種合計値に占める各車のべき乗値がシェアとなります(ルースの選好確率モデル)。
このシナリオの場合はフリードが8割以上のマインドシェアを取るようです。
このSCEという分析手法には問題点もあります。
今回の事例では階層ベイズを用いて実験的に個人別効用値を推定していますが、通常はAggregateつまり集合値として全サンプルやグループ内でのトータルとして効用値推定を行うのが基本なようです。尚、先ほどのシミュレーションも個人別でシェア算出はサンプル数的にも難しいためAggregateモデルにて実施しています。
これは、各試行で1つしか組み合わせプロファイルを呈示しない上、あまり多数の試行を行うのは回答者負担からして難しい状況ということかと思います。
よってより多くのプロファイルを評価してもらうためには個人別に推定するのではなく、Aggregateとして全体で一つの効用値を推定するためたくさんのサンプル(観測=試行)が必要になるということです。
ロジット解析を想定したSCEのサンプルサイズの算出方法は、
・nが観測数(試行数)
・kが各属性の第1水準をオミット(多重共線性を回避するため)した解析対象水準数x(選択肢数-1)+選択肢数-1
・pが選択確率、つまり選択肢のレクサス、フリード、タントの3つなら1/3となります。
その上で、 観測数(試行数) >= 10k/p となります。
今回の事例の場合、
属性水準の第1水準を除いた水準合計数が10個、選択肢数が3個ですので、73観測(試行)が最低ラインとなります。
一人10問とした場合であれば7.3人で済みますが、あくまでもAggregateでの分析を想定した場合です。
個人別推定の場合はこれ以上、つまり一人に対して最低1水準が3回以上は露出させたいため、5水準属性が最多水準とした場合、15問は必要になるかと推察されます。さらにサンプル数は200以上が推奨となります。またあまりこの選択実験の過去データや経験がないため正直なところどの程度で精度が保てるのかも心許ないところです。
また、実務上の問題もあります。
計算処理を行う上でのデータの整形が非常に面倒であるということです。例えば米Sawtooth社のMBCなるモジュールを利用するとやや簡単に解析用データを生成できるようですが、こちらはサブスク形式で非常に高価な上、利用機会が非常に少ないため導入している企業は非常に少ないようです。
この場合はエクセル等で個別にマクロを組んだりする必要がありそうです。
今回の事例は属性水準数や選択肢数、サンプル数も少ないため面倒でもエクセルで何とか作成しましたが実案件として実施するのはなかなか大変な状況です。
以上、SCE 状況選択実験 という手法についてのご案内でした。
●弊社サイト
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