2020.03.05 |
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なぜトイレットペーパーの買い占めは起きるのか?を科学的に分析してみました。そしていつ収束するのか?
2020年3月5日現在、日本では新型コロナウイルスが猛威を振るっており、トイレットペーパー品薄のニュースが流れています。
コロナウイルスとトイレットペーパーは何の関係もないのに、なぜトイレットペーパーの買い占めが起こり品薄になってしまうのでしょうか。
心理学的アプローチであれば「不安心理」なのでしょうが、数字データでその理由を分析してみました。
トイレットペーパーはスーパーやドラッグストアで買うことが多いと思いますが、各店舗からしてみたらトイレットペーパーを並べておくのは場所を取りますので数多くの商品を陳列することはできません。並んでいるのは1店舗で100パック位ではないでしょうか。
通常はその数で問題ないのですが、今回のように人々が「ちょっと多めにストックしておこうかな」と考えてしまうとあっという間に品薄になります。
スーパーを例にして考えてみましょう。
あくまでも概算ですが、スーパー1店舗(売り場面積1,000平米)に1日平均2,000人程度のお客さんが来るそうです(スーパーマーケット業界団体データより)。
また経済産業省からトイレットペーペーは「1人1週間1ロール」消費するというデータが公表されています。
今の日本は1世帯平均3人ですので、1世帯で言うと1パック12ロールを4週間(28日)に1回トイレットペーパーを買うことになります。
メインでスーパーに買いに行くのは世帯の代表者1人とします。
2,000人が28日に1回トイレットペーパーを買うとすると、スーパー1店舗で1日に約70パックのトイレットペーパーが売れます。
2,000人のうち3.6%(1÷28)の人が購入=約70人(70パック)
スーパーに100パック程度トイレットペーパーが並んでいるとすれば需給バランスは取れている計算になり、棚からトイレットペーパーがなくなることはありません。
ところが今回のコロナウイルスのように、人々が「生活必需品を多めに買っておこうかな」といっせいに考えると、あっという間にスーパーの棚からトイレットペーパーがなくなるという現象がおきます。
スーパーのお客さん2,000人のうち、通常は3.6%の人がトイレットペーパーを買う(70パック)のに加え、さらに5%の人が買おうとすると100パック余分に必要となり、合計170パックないとあっという間に在庫切れになります。
それでは実際のところどの程度需給バランスが崩れているのか?ということで弊社でも通常から日常生活品を購入している20歳以上の男女263名を対象に簡単な調査を実施してみました。
Q.安倍首相が小中高校の臨時休校を要請した2月27日以降トイレットペーパーを購入しましたか?
「買った層(22%)」はいち早くトイレットペーパーを購入しているため特に問題はありません。
「家にストックがあり買っていない層(66%)」はそもそもニーズがありませんので、こちらも問題がありません。
「買いたいが売っていないため買えていない層(12%)」がニーズがあるのに供給されておらず、困っている層になります。
男女別ではどうなっていますでしょうか。
男性は女性よりも「ストックがある」と回答している比率が高く(75.7%)、その分「買いたいが売っていないため買えていない」比率が低い(8.7%)ようです。
年代別では以下のような結果になっています。
年代別では「60代以上」が「ストックしている」比率が約80%と高く、その分こちらも「買いたいのに買えない」比率が低い結果となっています。
それではいつまでこの品薄状態が続くのでしょうか。
政府からの要請など不確定要因もありますが、ざっくり計算してみましょう。
調査結果によれば約12%の人々が買いたいけれどもまだ買えていない購入ニーズ層です。
先ほどのスーパーの1日の買い物客2,000人で計算すると12%で約240人になります。
スーパーで毎日100パック仕入れて棚に並べると仮定して、その100パックを「買いたいけど買えない」人から優先的に買えるとすると、2~3日で全員にトイレットペーパーがいきわたります。
ところが調査した時点ではストックがあった人もその後ストックがなくなり購入ニーズが出てきますので、100パックのうち70パックが通常ニーズで買われてしまうと仮定すると、残り30パックを240人で買っていくことになります。
実際はそんな単純な構図ではありませんが、それでも8日もすれば一通りみんながトイレットペーパーを買うことができ、スーパーの棚に普通にトイレットペーパーが並ぶことになるでしょう。
ということで、3月上旬にはトイレットペーパー品薄問題が収束していると予想します!
(記:藤井)