2020.04.13 |
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5Gになると何が変わるの?フォグコンピューティングって何?
最近「5G」という単語をよく耳にするかと思います。ついこの間まで「今度のスマホは4G対応」などと言っていたのに、もはや世代交代の波が・・・。
〇5G
「5G」は「5th Generation」の略で、携帯電話の通信規格が「第5世代」という意味です。
技術の進歩と共に通信の役割も変化しており、様々なニーズに応えるために世代交代を繰り返し「第5世代」まできています。
概念としては「超高速」「大容量」「低遅延」「多接続」「高信頼」を実現すべく開発されているのですが、具体的なニーズとしては「IoT」に対応する必要に迫られているからと言えるのではないでしょうか。
〇IoT
「IoT」も最近よく聞きますが、「Internt of Things」の略で「モノのインターネット」、その名の通りモノがインターネットにつながっている仕組みのことです。
例えば「ルンバ」。ルンバを購入した時にインターネットに接続する設定を行えば、自宅にある「ルンバ」を外出先からスマホで動かすことができるようになります。これは「ルンバ」がインターネットにつながっており、「ルンバ」自体が「IoT」に対応しているからです。
これから「IoT」対応のモノはどんどん増えていくでしょうし、中でも「自動運転車」が「IoT」の本命と言えるのではないでしょうか。
自動運転システムのセンサーを搭載した自動車は「走る」「回る」「止まる」などの動作を自動で行う必要があります。
人が運転して指令を出すわけではないので、全て「IoT」である自動車が自立して判断を行います。
その際に遠隔地にあるデータセンターに情報を送り、そこから解析結果が自動運転車に戻ってくるのを待つという流れになるわけですが、その場合に2つ問題があるようです。
1点目は、遠隔地にあるデータセンターに情報を送り、そこから解析結果が自動運転車に戻ってくるのを待っていると、かなりの遅延(レイテンシー)が発生してしまうこと。
2点目は、「IoT」が進んでいくとデバイスの数がものすごい数に増えていくことで、現在のインターネットシステムでは対応しきれないのではと言われています。
そこでこの2つの問題をクリアするために「フォグコンピューティング」が注目されています。
〇フォグコンピューティング
「フォグコンピューティング」という概念はシスコシステムズが提唱し、2015年に同社及びARM、Dell、Intel、Microsoft、Princeton大学により発足したOpenFogコンソーシアムが規格の標準化等を進めています。
データの処理を行う場所を分散して「IoT」のデバイス(機器)に近いところに広げていこうというのがフォグコンピューティングの考え方です。
クラウドは雲ですのではるか遠くに存在するものですが、フォグ(霧)は生活の近くにもやもやと存在するところから名付けられたのでしょうか。
クラウドのデータセンターは大都市から遠く離れていることが多く、データの送受信にどうしても遅延(レイテンシー)が発生してしまいます。
そこでフォグコンピューティングではデータセンターのように何万台というサーバを遠くに設置するのではなく、数台程度のサーバを携帯電話の基地局やオフィスなどに網羅的に設置していくことにより、遅延(レイテンシー)を防ごうとしています。
現在の4Gは基地局とデバイスの間の遅延がおおむね50ミリ秒ぐらいあるそうです。
自動運転車で考えた場合、時速100キロで走っている自動運転車を通信で制御しようとすると、クラウドから「停止」という指示を出してから実際に自動運転車が止まり始めるまで、50ミリ秒の遅延があるとその間に車は1メートル以上進んでしまうことになり、自動運転車の前に歩行者がいる場合にはかなり危険です。
これが5Gになると、1ミリ秒以下にまで遅延を減らすことができ、自動運転車は数センチぐらいの距離しか進みません。
ソフトバンクの実証実験では、時速50~90kmで走行するトラックと基地局の間で信号の送受信を行い、上り・下りのどちらでも0.58ミリ秒を実現したそうです。
この低遅延によって自動運転車などのリアルタイム性を要求されるデバイスでも通信制御できるようになり、自動運転車の実用性が高まることになるようです。
ついこの間「クラウドってすごい!」と言っていたのに、もはや次の概念(技術)が出ているなんて、ほんと人類のあくなき探求心に感心してしまいます!
フォグコンピューティング
https://it.impressbm.co.jp/articles/-/15954
(記:藤井)
※弊社メルマガ(MTレター)に書いた記事を改めて掲載しています。